ワークショップで作成するペルソナ設定 テンプレート付き

マーケティングでのペルソナ設定とは、あなたのサービス/商品を利用する架空の顧客像を設定することです。

※ペルソナの本来の意味

ペルソナ:personaとは、ラテン語であるperson:仮面・マスクから由来しており、心理学者ユング(1875/7/26~1961/6/6:85歳没)が人間の外的側面をペルソナと定義し、社会に適応するための役割的な人格いわゆる「役」「キャラ」として、個性(自我)が発揮できない状態とあります


ペルソナ設定までの変遷

なぜ、ペルソナ設定が必要かを説明する前に、すこし歴史について話をしたいと思います

顧客像の設定する事は、昔から行われてましたがもう少し分類が粗かったです。

■F1・M1ターゲット層(性別/世代属性)

マスコミ、放送・広告業界などを中心にF1層、M1層というような性別/世代で区別した顧客像の設定及び、ターゲットを区分してます。これはあくまでマス(集団)に対する方法なので当然、粗く設定されます。

C層:Child (4歳~12歳 男女)

消費金額は少なく、親の意見が影響度が高い。ただし、C層をターゲットとして親の消費行動につなげる事が可能

T層:Teen-age(13歳~19歳 男女

消費金額はそれほど高くはないが、SNSなどのツールを利用して頻繁に知人と連絡をとりコミュニケーション力が非常高い、また、流行に敏感である

口コミの力を利用したマーケティング施策が有効

M1層:Male-1(20歳~34歳 男性)
学生から社会人となり、消費金額も高く積極的、情報に対して敏感でファッション等の外見に対しての購買意欲が高い

M2層:Male-2(35歳~49歳 男性)

経済力があるが、住宅、自動車などの高額ローンが始まる。消費に関してはM1ほど積極的ではない。自身にお金を使うより貯蓄、家庭に関することにお金を使う。健康に対する意識も強くなる

M3層:Male-3(50歳以上 男性)

比較的購買意欲が高い。値段より質を選択し高級品志向。会社退職後のセカンドライフを意識したサービス/商品が多くなり、旅行、健康、カルチャーに関する意識が高い

F1層:Female-1(20歳~34歳 女性)

流行に敏感で消費はかなり積極的、広告や口コミなどをチェックする頻度が多い為、この層がマスコミュニケーションの中心となるケールが多い。特に美容やファッションへの消費に意欲的。

F2層:Female-2(35歳~49歳 女性)

妻、母親として家庭での重要な位置として、住宅、自動車、教育費の高額商品の選択、判断や、家庭で購入する多くの商品・サービスに対し決定権を持っています。家庭消費の中心と人物。

F3層:Female-3(50歳以上 女性)

経済的な余裕があり、購買意欲も比較的高め、テレビの視聴時間が長い、高齢となると家族(親、夫)の介護が始まりヘルスケア消費が発生する。

旅行、健康、カルチャーに関する意識が高い


■ジオマーケティング(地域属性)

ジオマーケティングとは、地域/地理情報を用いたマーケティング手法として、特に店舗を出店の際に、対象地域の定量分析として、人口、世帯の増減、競合店数など、定性分析として、消費者動向、地域特性、経済状況などを行います。

あと有名な地域特性の話として、日清食品の「どん兵衛」は、関東版/関西版/北海道版で味が異なるなどもあります。

下記に地域の定量分析要素として、統計情報のサイトを記載します。

●定量分析(統計データ)

e-Stat・・・政府統計ポータルサイトとして、総務省統計局の国税調査のデータ等も参考にできます。掲載しているデータは、人口、出生・死亡、出入国者、世帯数、労働者(正規・非正規)、失業・求人、給与、労働時間、各業種の売り上げ、個人企業、倒産、消費支出、世帯収入、住宅数、学校数等があります

●定性分析

住みよさランキング

 東洋経済・・・「住みよさランキング2019」全国総合トップ50

 SUUMO(スーモ)・・・住みたい街ランキング2019 総合トップ 

 三菱UFJ不動産販売・・・自治体別住みよさランキング・2018年版

国内旅行 ランキング

 HIS・・・国内旅行エリア別人気ランキング

 トラベルコ・・・国内旅行先ランキング

 地球の歩き方・・・人気旅行先ランキング TOP20【国内編】


ペルソナの種類

ペルソナは、大きく分類すると実際のデータ及びユーザから情報収集して正確性をお求めたペルソナと、仮説で作成する、臨時ペルソナ(偽ペルソナ、仮ペルソナ、仮説ペルソナ、プロトペルソナともいいます)があります。一般的に作成されるのが臨時ペルソナとなり、下記に各ペルソナの優位点を記載します。

■ペルソナ

ユーザー調査の定性的・定量的なデータに基づき、ペルソナ設定を作成します。

大きな方針転換や、新たな事業計画等でウォーターフォール型のプロセスで正確性を求められるシーンで利用され、じっくりと時間をかけて作成する

メリット

・企業側の思い込みではなく、ユーザーのニーズに沿ったサービス展開が可能になる

・実データに即しているため、ユーザーがサービスを利用する動機や過程が明確になる

・部署を横断して顧客像を共有する場合、ミーティングや戦略の立案がスムーズになる。特に部門内でペルソナ設定すると担当箇所の思い込みが強く取り入れられる。

デメリット

・ユーザーインタビューなど、情報収集を行うために、多くの調整と時間、コストがかかる。

・ターゲットが明確になるので、大胆な発想ができなくなる。

■臨時ペルソナ

ユーザ調査をしていたのでは時間も採算も合いため、今、利用できる情報から素早くつくり上げるペルソナです。

最近ではサービスを作るプロセスもアジャイルになってきており、時間をかけてじっくりペルソナを作るよりも、簡単に臨時ペルソナを作成し、情報を得るたびにそれを更新して作り直していくような素早いアジャイル開発のシーンに適切

メリット

・ターゲットユーザの擬人化による設計チームの一体感の醸成、できるだけ異なる部門間のメンバーが出席し様々な観点を入れることが重要

・短時間で様々なペルソナ設定を作成できるため、優先順位づけによる要求管理の効率化が行える

・アジャイルな商品開発、サービス提供に即して素早く作成が行える

デメリット

・「〇〇したい」という要求は実際にはチームの要求になる。

・あくまで、ユーザーストーリーを語る一時的な考えに過ぎない


ペルソナ作成の手順

ペルソナを設定する為には、下記の手順で進めていきます

①顧客属性・ニーズ把握の調査

キーワードツールや自社の顧客データを活用、必要に応じて自社顧客への取材やアンケート・インタビューなどの調査を行うなどして、既存顧客・見込み顧客の属性(デモグラフィック変数、サイコグラフィック変数)、商品やサービスについてのニーズや問題点を洗い出していきます。

②セグメンテーション

調査によって得られた情報を系統ごとに整理していきます。顧客属性、商品・サービスについてのニーズ・問題点と情報を分けて、後の考察につなげていきます。まずは「顕在顧客」「潜在顧客」に大別してみて、「顕在顧客」に当てはまるグループにはこんな性質がある、といった形で羅列していき、似たような集団をグループとしてまとめていくものだと考えておいてください。

③メインターゲットを決定しペルソナを策定

商品やサービスについてのニーズからメインターゲットを決め、そこに顧客属性を加味してペルソナを策定していきます。ターゲティングで重要なことは、顧客のニーズに注目することです。ペルソナを考える際もニーズに対して、このキーワードで検索するユーザーがどんなことを感じ、どんな行動をとって、自社の商品・サービスを購入するに至るのか、仮説立ててストーリーを作っていきましょう。


①顧客属性・ニーズ把握の調査

客に関する情報を集めて、商品やサービスについてのニーズや問題点を洗い出していく

ユーザーインタビューやアンケート

ターゲットに比較的近い属性を持った人にインタビューし、ペルソナ作成の際に設定する項目を基準に普段の生活や行動の理由を質問します。 個別ユーザーにインタビューするのが難しければアンケートを実施します。

自社サイトの分析をする

Google AnalyticsのようなWeb解析ツールなどを利用している場合は、ユーザー情報を確認し、どの地域の人なのか、どういった情報の取集の仕方をしているのか、また行動情報を用いることでどのようなサイトコンテンツに対して興味を持っているのかを簡単に把握することができます。

ソーシャルメディアを利用する

ソーシャルメディアをうまく利用することによって実際の人となりを見ることなどができることがあります(プロフィールの公開設定の制限などがある場合もあります)。SNSの使い方からどのような価値観を持っているペルソナなのかを知り得ることもできます。

※※ペルソナの行動ではなく、その行動をした理由や動機に着目する※※


②セグメンテーション

ニーズをタイプごとにグルーピングして情報整理

ターゲットを選定するひとつ前の段階で市場を細分化する必要があり、それがセグメンテーションという考え方です。

・ジオグラフィック変数・・・地理的変数とも言う。国、地域、人口密度、都市化の進展度、気候、文化、宗教、政策などの要素がある。

・デモグラフィック変数・・・人口動態変数とも言う。年齢、性別、国籍、職業、所得水準、学歴、家族構成などの要素がある。

・サイコグラフィック変数・・・心理的変数とも言う。ライフスタイル、社会的階層、価値観、購買動機、性格、好みなどの要素がある。

・行動変数・・・購買状況、購買プロセス、使用頻度、購買メリット、購買態度などの要素がある。

※セグメンテーションの実例※ 自動車保険業界。売上インパクトのあるユーザーを想定

ーーサンプルーー

30~40代 男性 マイカー持ち、既に自動車保険加入済み・・・自動車保険の満期日が迫っており、この機会に色々な自動車保険を比較し見直しをしてみたい

18~20代前半  男性 バイク/自動車購入を検討中・・・初めて自動車を購入するにあたり、自動車保険に入らないと行けない事はわかるがそもそもどのような仕組みで相場はいくらぐらいなのか?


③メインターゲットを決定しペルソナを策定

下記のペルソナのフォーマットに情報を落とし込みましょう

①セグメンテーション属性・・・上記2でセグメンテーションした属性を記入

②デモグラフィック情報・・・2でセグメンテーションしたデモグラフィック情報を記入。

ユーザーに関する基本情報・属性を詳細に記入。

③サイコグラフィック情報・・・2でセグメンテーションしたサイコグラフィック情報を記入。ライフスタイル、社会的階層、価値観、購買動機、性格、好みなど。

④行動特徴・・・実に基づいて創作したユーザーの具体的な行動(ストーリー)を記入

⑤企業に対する考え・・・サイトを訪れた理由や、企業に対してどういった考えを持っているかを細かく記載。

⑥目標・・・ユーザーの目標(ゴール)を記入。具体的に、ユーザーがどういったことを行えば、目標達成といえるかを考える。



ワークショップをやってみよう!

ペルソナを作る発想法のワークショップにおいて、その都度、ユーザ調査をしていたのでは時間も採算も合いません。

定量・定性調査のデーターが無い場合、仮のターゲットユーザ像を決めないと調査計画が作れません。よって、今回は「臨時ペルソナ」でペルソナを作ります。


ペルソナ設定を作成する企業(仮想企業)

日本帝国スポーツ株式会社 

上場市場名:東証1部 

設立:1950年4月1日 

資本金:100億5000万円 

売上高:800億円 

事業内容スポーツクラブ(フィットネス・水泳・体操・テニス等のスポーツ施設)の運営・指導/スポーツ施設の管理・運営/企業フィットネスの推進

企業の悩み/今後の施策

・売上、会員数が横ばいなっている。 

 ・20代、30代向けの広告費をかけているため入会は多いが解約率が高い

・既存顧客のロイヤル化を行いアップセルを及びクロスセルを狙いたい

・余暇を楽しむ団塊の世代に対して、カルチャー及びスクールを訴求し、新規会員顧客を狙う。 


最後に

ペルソナ設定のワークショップはいかがだったでしょうか?

上記の仮想企業では、これまでのロイヤル化を目指すためにメインターゲットである60代のペルソナを作成したり、20代もしくは、30代の解約防止させるためのペルソナを作成を行ったと思います。このようにペルソナは1つ作って終わりではありません。

また、ペルソナも作成後は、時間軸や会社の実情に合わせてアップデートする必要があります。特に臨時ペルソナはあくまで仮想なので、実際の顧客からのヒアリング/アンケートにて作り変えていく事も必要ですね。

あくまでも顧客になりきって、顧客目線で考える事が重要となります

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